オードリー・ヘプバーン(2022)

原題はAudrey

オードリー・ヘプバーンのドキュメンタリーで

よくある関係者によるインタビュー形式のもの

 

といっても1929年(昭和4)生まれのオードリーが

生きていたとしたら93

彼女の黄金期を共に過ごし知る人がそういるわけでもなく

「知られざる素顔に迫った」という謳い文句にかかわらず

すでにウィキペディアに書いていることばかり(笑)

逆に最初の夫メル・ファーラーとの間に出来た

4度の流産とメルの女性問題で離婚)

長男ショーンと孫娘エマのインタビューはあるのに

 

2番目の夫、アンドレア・ドッティ(イタリア人の精神科医)との

10歳年下だったアンドレアの200人以上の女性との浮気で離婚)

次男のルカのインタビューがない謎に突きあたってしまいます

オードリーと息子たちの関係は良好だったようですが

オードリーの死後、遺産は半分ずつ分けると遺言はあったものの

衣装や宝石類、映画の脚本や賞

名前、肖像、イメージを巡って法的に争い

解決できていないんですね

 

これは天国のオードリーが悲しんでいることでしょう

 

作品としては、オードリーの主演作や演技うんぬんより

終盤に描かれているユニセフ親善大使だった姿が主題だと思います

父親との別れ、戦争、バレエダンサーになる夢の挫折

女優、結婚、母親という経験をして昇華させた結果が

たぶんユニセフへの貢献だったのでしょう

妖精のような外見とは裏腹に映画関係者からは

「ビロードの手袋の中の鉄拳」とあだ名されたそうですが

その気の強さと、「オードリー・ヘプバーン」の名前を武器に

飢えた子どもたちのために人生を捧げることを選んだのです

3世代の女性バレエダンサーを起用して

オードリーの人生をダンスで表現したのはいらなかったですね(笑)

それよりはオードリーの残した映画の名シーンや

セリフをもっと紹介すべきでした

特にオードリーが愛し息子たちに読み聞かせたという

サム・エヴェンソンの詩は感動的で

今ではオードリーの明言の代名詞にもなっているそうです

魅力的な唇になるためには 

優しい言葉を話しなさい

愛らしい瞳になるためには 

人の良いところを探しなさい

スリムな体型になるためには

お腹を空かした人に食べ物を分けてあげなさい

 

大人になれば自分にも 

ふたつの手があることに気づくでしょう

ひとつは自分ため 

もうひとつは誰かを助けるため



【解説】映画.COMより

世代を超えて愛され続けるハリウッド黄金期の伝説的スター、オードリー・ヘプバーンの知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。幼少期に父親による裏切りに遭い、ナチス占領下のオランダという過酷な環境で育ったオードリー。初主演作「ローマの休日」でアカデミー主演女優賞を受賞し、映画スターとして輝かしいキャリアを築きあげる一方、実生活では幾度も離婚をし、愛される喜びを得られずにいた。晩年にはユニセフ親善大使など慈善活動を通して多くの人々に癒しと救済をもたらし、生涯をかけて「愛すること」を信じ、与えることを貫いた。映画では貴重なアーカイブ映像をはじめ、俳優リチャード・ドレイファスやピーター・ボグダノビッチ監督ら映画関係の仲間たち、息子や孫、友人ら近親者のインタビュー映像を交えながら、名声の裏側に隠された本当の姿を浮かび上がらせていく。

アラン・ドロン祭スピンオフ会しました

去る611

毎年11月に行われている、アラン・ドロン生誕祭の

スピンオフ会しました

 

昼の部は有楽町駅前のイタリアン・レストラン

「マイアミ・ガーデン」でランチ会

はてなブログ友をはじめ映画ファン8人が集まります

BZD39

  

映画ブログ界のカリスマ・ブロガー

fpdさんとぴくちゃあさんの貴重なツーショット

「枯れ専」にはたまりません(笑)

ランチ会のあと男子部は「トップガン・マーヴェリック」

女子部は「オードリー・ヘップバーン」を鑑賞

夜の部は新橋の居酒屋で乾杯

美味しかった、楽しかった

あっという間の飲み放題3時間(笑)

11月に再会することを楽しみにしています

また盛り上がりましょう

 

 

スイッチ(2020)

「悪い人間はどこにでも行ける」

リーガル(法廷)サスペンス&ラブコメディ

ストーリーに現実離れしたところはあるけれど

ワードセンスとテンポがよく

1時間40分という短さなので見やすい

隙間時間にサクッと楽しめました

横浜地検の駒月直(阿部サダヲ)と
横浜の法律事務所で働く弁護士蔦谷円(松たか子)は
元恋人で腐れ縁の40
お互い新しい恋人が出来れば紹介しあい
お互いのあげ足を取り合う(笑)

円(まどか)の恋人、貴司(眞島秀和)は広告代理店に勤めるサラリーマン
自慢の筋肉自撮りをSNSに投稿しています
一見いけすかないタイプですが、実は誠実で真面目
まわりに気を配り過ぎて損をしています
観覧車の中で円にプロポーズ

直(なお)の恋人、亜希(中村アン)はオシャレ料理研究家
「この料理にはこのオリーブ・オイルとこのお塩」
思えばこのシーンが一番ウケた(笑)
煮え切らない態度の直に逆プロポーズします

そんな時、直が担当している「連続突き飛ばし事件」の容疑者を
円が弁護することになります
で、検察のずさんな捜査を暴くわけですね

そして「連続突き飛ばし事件」で唯一死亡した女性の娘石橋静河から
母との通話で、母は「突き飛ばし」ではなく
人材派遣会社に勤務する重藤(岡部たかし)とその妻
殺されたことがわかります
にもかかわらず政界からのコネで
重藤へのおとがめは一切なし、不起訴になるのです

「やるしかないな」「ね?」
松たか子の「ね?」がたまらん(笑)
ワイヤーを持ち重藤の病室に入り込もうとする黒装束の怪しい人間
直が取り押さえると、それは円でした
円はこれまでも、上からの圧力で不起訴になった悪人を
何人も殺そうとしていました
そのたびに止めていたのが直だったのです

きっかけになったのは24年前の「トンネル崩壊事故」
20人が生き埋めになり、救助されたのが当時16歳だった直と円ふたりだけ
合同追悼式でふたりは知り合い、付き合い始めます
その後知事と建設会社の癒着と、トンネルの欠陥工事がわかると
円は包丁を持ち知事に突進しようとします
間一髪円を抑えた直は、10年後別件で知事を逮捕するのでした

やがて貴司も 亜希もこれはふたりの関係を怪しいと思いはじめる
というか貴司と亜希のほうが、価値観が一緒でお似合い(笑)
普通ならくっつく展開になるはずですが
なりませんでした(笑)
似た者同士だからって、一緒にいて安心だからって
うまくいくわけじゃない
そのことは直と円もよく知っている
お腹とお腹も邪魔するし(笑)

直は円に「(貴司と)結婚しろよ」と言います
ワインの味を物語にするのは、微妙だけど(笑)
バリキャリと気配り人間の相性は悪くないと思う
「連続突き飛ばし事件」も解決して、再び4人で食事会
そのとき「トンネル崩壊事故」のあのときの知事が
偶然、レストランにやって来たのです
円が頬を膨らまし、殺しのスイッチが入ったことを
直は見逃しませんでした

政界も、検察も、不正受給者も、観光船の社長も世の中クソだらけ
殺したくなる気持ちはわからんでもない
結果的に勝組は「はけ口さん」(岸井ゆきの
雑用をこなし、愚痴を聞き、最後には大きな仕事を手にします
強いメンタルこそ成功の秘訣でしょう

【解説】ウィキペディアより

2020621日の21:00 – 23:04JST)にテレビ朝日系「日曜プライム」で放送されたテレビドラマ。監督は映画『君の膵臓をたべたい』を手がけた月川翔、主演は阿部サダヲ。脚本家・坂元裕二のオリジナル作品。7年間交際し、別れてからも腐れ縁を続けている元恋人同士の検察官の男性と女性弁護士が、同じ事件の真相を互いの視点から突き止めていく様を描くリーガル・ラブサスペンス

学生時代から7年間交際し、別れた後も成り行きでお互いの恋人を紹介し合ったり、何かにつけて憎まれ口を叩き合うという奇妙な関係を13年間続けている検事の直と弁護士の円。ある日、直が担当する「みなとみらい連続突き飛ばし事件」で死者が出てしまう。事件が一気に深刻化する中、絶対に刑事事件を引き受けないと決めていたはずの円が連続突き飛ばし事件の被疑者を弁護することになり、元恋人同士の2人は検事と弁護士として対峙することになる

 

 

空白(2021)

行き過ぎた行動ばかりだったけど

古田新太の気持ちに寄り添いました

ある日突然子どもを失ったら、気が違っても

世界中の人間を敵に回しても当然

いい人になんてなれない

 

猟師の添田(古田新太)は腕は一流だけれど

粗野で頑固で融通が効かない、口も悪い

妻の翔子(田畑智子)とは離婚し(再婚して妊娠中)

ひとり娘で中学生の花音(伊東蒼)とふたり暮らし

花音はちょっと自閉症っぽいところがあって

マイペースで、俗にいうトロい

クラスでは担任に注意され、いつもひとりで友達もいない

家では父親に怯え、委縮して生活していました

 

青柳(松坂桃李)は父から引き継いだスーパーの店長

花音が陳列棚のマニキュアを万引きしたのを目撃して

腕を掴みバックヤードに連れて行くと

花音は発作的に逃げ出してしまいます

そして青柳に追いかけれた花音は、死角から現われた車に撥ねられたあと

対向車線のトラックに引きずられてしまいます

遺体は人間の形さえ残さない残骸になり果てていました

親はこうなったら世界中、全部敵ですよ

死の真相がわかるまで諦めきれない

最後まで戦ってやる

 

添田は娘を追い詰めた青柳に憎しみを露にし

花音の通っていた学校には虐めがあったと迫ります

(学校への批判を恐れた)校長先生は

かって青柳に痴漢疑惑があったことを添田に教えるのです

しかも事故からというものマスコミは添田と青柳を取材し

絶妙に編集した録画をワイドショーで流す

ネット上では面白可笑しく書き立てられ

ふたりは世間から中傷され孤立していきます

 

青柳を気にかけるパート店員の草加部(寺島しのぶ)はビラ配り
親切もここまでくれば迷惑なだけ

花音を最初に車で撥ねた女性が

添田に何度も謝罪に来てもうっとうしいだけ

でもその女性が罪の意識で自殺してしまいます、まだ若かったのに

添田は彼女を憎んでいたわけではなかった

事故だとわかってる、面倒だから無視しただけ

 

いそいそと通夜に出向くと、母親(片岡礼子)が出てきて

罵倒されるかと思った、でも違いました

こんな弱い娘に育てた自分が悪かったと

娘の罪は全て自分が償う、だから死んだ娘は許してくださいと

添田に頭を下げたのです

ひとり娘を失った悲しみも、憎しみも、同じなのに

この母親は娘の過ちを認め、許してほしいと乞う

その時、添田が変わった

初めて、他人の言葉が心に届いたのです

・・・許すという心



花音の部屋から見つかったマニキュア

母親のいう通り、年頃だったんだ(でも隠蔽)

油絵が上手、少女漫画が好き

俺は娘のことを何も知らなかった、見ていなかった

で、イキナリ油絵を始める(笑)

イキナリ少女漫画も読みだす(笑)

 

青柳のスーパーは閉店、彼は工事現場で働いていました

偶然添田と再会し、恐縮した青柳でしたが添田の変化に驚かされます

弟子の野木(藤原季節)も、元妻の翔子も

花音の絵を届けに来た担任の今井(趣里)も同じでした

花音の墓参りの後、食堂で翔子がお腹の子の「茜(あかね)」という名前を

夫の提案で花音の文字をとって明花音にすると言ったとき

またまた添田は屁理屈こいてブチ切れ

だけどすぐに過ちに気付き、素直に謝罪します

子どもに罪はない、健康に産まれて育つのが何よりの願いではないか

帰りのタクシー、翔子はそっと添田の手を握るのでした

 

そして担任から届けられた花音の数枚の絵の中のひとつに

三頭のイルカの形の雲の絵がありました

それは添田がいつか見た、雲の形と一緒でした

同じ日、同じ時間、同じ雲を見ていた

繋がっていたんだ・・・

 

人生の中でやり直しのつかない、最上級が子育てかもですね

それが死んでしまったらなおさら、取り返しがつかない

 

だけど、添田には息子のように慕ってくれる野木がいるし

青柳には「焼き鳥弁当」ファンのおかげで未来の兆しが見えてきた

全てが破壊された瓦礫からも、光が差し込む

そんな結末には安堵したものの

被害者や加害者の感情だけを抜粋していて

中盤のバックヤードに連れ込んだ痴漢疑惑や、ヒロインの発達障害

死亡事故に至るまでの警察の調査など(いわゆる面倒な部分を)

疑惑ともせず、終わりにしてしまうのは作品としていかがなものか

 

私って添田以上のクレーマーだな(笑)



【解説】映画.COMより

「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督によるオリジナル脚本作品で、古田新太主演、松坂桃李共演で描くヒューマンサスペンス。女子中学生の添田花音はスーパーで万引しようとしたところを店長の青柳直人に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれて死んでしまう。娘に無関心だった花音の父・充は、せめて彼女の無実を証明しようと、事故に関わった人々を厳しく追及するうちに恐ろしいモンスターと化し、事態は思わぬ方向へと展開していく。悪夢のような父親・添田を古田、彼に人生を握りつぶされていく店長・青柳を松坂が演じ、「さんかく」の田畑智子、「佐々木、イン、マイマイン」の藤原季節、「湯を沸かすほどの熱い愛」の伊東蒼が共演。

ソロ活女子のススメ (2021)

出版社で派遣社員として働く40歳の五月女恵(江口のりこ

休日や仕事帰りに様々なソロ活動に挑戦していく物語



シチュエーションは「孤独のグルメ」とほぼ一緒

ただ「孤独のグルメ」が食事、主に大衆食堂に特化しているのに対し

こちらは特に自分の趣味や好みなどは持っていなく

どちらといえば「好きなもの探し」

私は普段からソロ派なので

わざわざ気張ってソロ活動することに、共感できませんでしたが(笑)



1人で飲みに行ったり、動物園や遊園地に行くことを

「寂しい女」と見られるのではないかとためらう女性もいるんですね

そういう人には、エピソードごとの最後に施設やお店が紹介されているので

利用してみるのもいいかも知れません

特に鎌田付近で仕事しているか、お住まいの方(笑)




エピソード1

焼肉とソロリムジン

焼肉は普通にひとりで行くな(笑)

リムジン貸し切りは活動というより

「一度はやってみたいこと」でしょうね

リムジン12033000円~

レンタルドレス13200円~



エピソード2

ソロ動物園とソロ水族館

主人公もですけど、鳥好きにはカメラ好き多いですね

海洋生物好きも結構いますね

息子の幼なじみは水族館が好きすぎて、水族館に勤めたいために

海洋大学に進学しました(笑)

宇都宮動物園、大人1400

アクアパーク品川、大人2300



エピソード3

ソロプラネタリウムとソロラブホテル

星や宇宙好きも多いけど、興味ないと確かに寝てしまいそう(笑)

上映時間4060

銀河シート2300

ラブホテルは旅先の宿泊に利用するならともかく

ひとりで休憩にはコスパが高すぎる

ロイヤルタイプ13000円(休憩)

 

エピソード4

ソロ夜景クルーズ

京浜工業地帯の夜景クルーズ

オイルタンク群や製油プラントを見るのが好きなのは

男の子ばかりだと誰が決めた

現に利用者の7割が女性ということ

1時間半、3800円~

男性やカップルはドライブ(車)で行くのだと思います

たぶん(笑)



エピソード5

ソロフレンチフルコース

ディナーコース、21000or33000

確かにコース料理は高級なレストランに限らず「2名様より」ばかり

フランスの貴族時代の古い伝統だって説明があったけど

鍋料理も「2名様より」が多いよな

大名時代の伝統か?(笑)



エピソード6

ソロ気球

これも「一度はやってみたいこと」

1泊45000円~



エピソード7

ソロせんべろ

いわゆる立ち飲み

私は座って飲むほうが好き、ひとりなら余計に(笑)



エピソード8

ソロ遊園地

富士急ハイランドで絶叫マシーンに挑戦

大人4100円~

絶叫マシーンやバンジージャンプマニアの知り合いはいないけど

(中には日本中や海外も制覇した人もいるだろう)

TDLTDCは、ミッキー好き、ショー好き、カメラ好きいろいろですが

年間パスポート買って通ってるおひとりさま多いですね

 

エピソード9

ソロ寿司&ソロボーリング

好きな寿司を好きなだけ頼む、普通だな(笑)

ボーリング好きはボーリングにひとりで行く、普通だな(笑)

マイシューズとマイボールにマイグローブも持ってる人も多いし

1ゲーム520円~



エピソード10

ソロスポーツ

暗闇サイクリングとクライミングに挑戦

フィールサイクル、1回券4400円(45分)

ボルタリング、初回登録料1200円、利用料500円~(時間帯による)

シューズレンタル300

サッカーやバレーボールはひとりじゃできないけど

ジョギングなどひとりでするスポーツは多い



エピソード11

ソロバーベキュー

15500円~、飲み放題つき8800円~

面倒臭いから私には向かない、やろうとも思わない

ビアガーデンに行ったほうがよっぽどいい(笑)



エピソード12

ソロ温泉&サウナ

銭湯480

公衆浴場は親が子どもの頃から連れて行かないと

入れなくなってしまう人がいるというので

そういう人に貸し切りサウナはありがたいかも知れません

私はジムのサウナで充分だけど(笑)

ソロサウナ、3800円(60分)



江口のりこさんはよかった

料理を美味しそうに食べる人は、やっぱりいい

でも流行りや、話題のことを追うのもいいけど

自分の打ち込めるものを、ひとつは見つけたほうがいいですね(笑)

好きなものに没頭していれば、他人の視線は気にならないし

自然と共通の趣味の知り合いも出来る

それに自分のスタイルを持っている人は

他人との距離感のバランスをとるのがうまいので

異性や異世代の友だちも増えますよ



【解説】ウィキペディアより

朝井麻由美の同名エッセイ本を原案として、出版社編集部の女性社員が退社後の“ソロ活”を邁進しながら、ラブホテル、水族館、プラネタリウムなどに赴いてひとりの時間を贅沢に楽しむ様子を描く

怒り(2016)

信じていた人に裏切られたことへの怒り
愛する人を信じてあげられなかった怒り

そもそも人間は人間を何の疑いもなく

本当に信じることができるのでしょうか

 

2007年、千葉県市川市で英語講師をしていたイギリス人女性

リンゼイ・アンホーカーさん(当時22歳)を殺害した逃亡犯

市橋 達也(当時28歳)がモデル

美容整形をし(保険適用外なので身分証明書なしで受けられる所もある)

各地での住み込み労働と、沖縄の無人島オーハ島に潜伏する

生活を繰り返すようになります

 

事件から2年半が過ぎ、市橋を新宿で見かけたという通報が入ります

テレビでは女装したモンタージュ写真、頬にはほくろがあり

左利きであることが大々的に報道されます

市橋がセルフ整形(両親は医者で本人も医大を目指していた)で

ほくろを切り取った傷を記憶していた美容整形医は

整形後の写真(手術直後で顔が腫れている→抜糸は自分でしたらしい)と

エレベーターの防犯カメラの映像を警察に提出し

全国的に手配書が配られたのです

物語は真夏の八王子で起こった夫婦惨殺事件から始まります

被害者の血で壁に描かれた「怒」の文字

警察はすぐに山神一也という男が犯人であることを突き止めますが

山神はすでに逃走したあとでした

 

そして身元不明の男を巡って3つの物語が展開されます

 

ひとつめは千葉の海岸部で会社を営む槙 (渡辺謙)は

(家出少女を風俗からの被害を防ぐ)NPOから連絡を受け

歌舞伎町にひとり娘(発達障害と思われる)の愛子(宮崎あおい)を

迎えに行きます

愛子は槙(まき)の会社で働くバイトの田代(松山ケンイチ)を気に入り

お弁当を作ったり、デートをするようになります

やがて田代とアパートを借りて一緒に暮らしたいという愛子

しかし田代には不審な点が多くありました、彼が使っていたのも偽名でした

疑う槙に愛子は田代君のことはなんでも知っていると言います

田代も愛子の過去を受け入れ、愛子がよければそれでいいと言います

そんなとき山神の姿をテレビで見た槙は

田代が山神ではないかと疑ってしまうのです

愛子は自分が歌舞伎町で貯めた40万円を田代の鞄に忍び込ませ

もし犯人でなければ昼までに帰ってきてと伝えます

しかし田代は帰って来ませんでした



ふたつめは昼間はエリートサラリーマンとして働き

夜は新宿2丁目を根拠に持つ優馬妻夫木聡)と

ゲイ専門のハプニングバーで知り合ったアナル童貞の直人(綾野剛

優馬は直人を気に入り、住む所がない彼と一緒に暮らすようになります

ホスピスに入院中の優馬の母も直人を気に入ります

しかしある日、直人がカフェで女性と会っているのを目撃してしまいます

激しい嫉妬と疑惑で直人を問い詰める優馬

しかも指名手配犯の頬に3つのほくろがあるというニュースを見ます

直人の頬にも3つ、ほくろがあったのです

直人は姿を消し、警察署から直人を知ってるかと電話が入ると

優馬は直人の痕跡を全て消してしまうのでした

最後の物語は、母親に連れられ沖縄に引っ越してきた泉(広瀬すず)が

友達になった民宿の辰哉(佐久本宝)と無人島に遊びに行くと

田中(森山未來)と名乗るバックパッカーと出会い親しくなります

辰哉とのデートで那覇に行った泉は偶然

(金と食料がなくなり働きに行くのだろう)田中と会います

三人は飲みに行き、辰哉は泥酔

しかも田中と別れたあと、辰哉がいなくなってしまうのです

辰哉を探しているうち、泉は米兵たちで賑わう界隈に迷い込んでしまいます

逃げるように立ち去るものの、人気のない公園でふたりの米兵に襲われてしまう

その様子を辰哉は影で見ていたのです、だけど怖くて助けられなかった

泉は言う「誰にも言わないで」

辰哉の民宿で働きだした田中は、辰哉からその話(仮)を聞くと

「俺、オマエの味方には、いつでもなるからな」と励ますのでした

しかし突然宿泊客の鞄を投げつけ、辰哉にあの日のことを知ってると告白し

夜中に厨房を破壊して逃げてしまいます

 

そんな八王子の夫婦殺害事件を忘れていたころ(笑)

別件で逮捕された男が、山神がどうして事件を起こしたのかを話します

いやいや、あんたのほうが怪しいから

普通、聞いただけの話をそこまでリアルに表現できるか(笑)

山神はごく普通の男で、その日会社から指定された場所に行っても

現場を見つけることができず、担当者に問い合わせると

担当者は先週の現場と間違えて伝えたという

しかし謝罪の言葉はなく、真夏の灼熱の中住宅街に迷い込んでしまいます

山神が座り込んでしまった玄関先で、帰宅したその家の奥さんは

熱中症にでもなったら困るとでも思ったのでしょうね

冷たい麦茶を差し出します

しかしその親切が「他人を見下すことでぎりぎり保っていた」

山神の怒りを爆発させてしまったのです

 

奥さんと後から帰って来た旦那さんは

単なる「とばっちり」ってやつですね

殺すなら現場間違えた担当者殺せよ

自分より弱そうな奴しか相手にできない臆病者めが

警察の調べで、田代は愛子に告白した通り

親の借金でヤクザから追われ、名前を変えて逃げていたことがわかり

愛子は田代を東京に迎えに行くのでした

槙の頭の中で姪(池脇千鶴)の声が木霊したことでしょう
「愛子は幸せになれないと思ってる?」

直人が会っていた女性(高畑充希)は、直人と兄妹同様に施設で育てられ

優馬は彼女から直人が末期の心臓病で

最期は公園の草むらから遺体が見つかったとを教えられるのです

そういえば直人と墓の話をした

・・・そういうことだったのか

最期まで直人といてやれなかったことに、泣き続ける優馬

辰哉が無人島に向かうと、古いコンクリートの壁に「怒」の文字

あまりにも解りやすすぎる犯人の証拠(笑)

そして何事もなかったように田中がいました

 

ただ泉のレイプに関しては「ウケる」と嘲笑はしたものの

受け止め方は違うけど、辰哉同様に助けもせず見ていただけで

犯罪には関わっていないんですね

どちらかといえば、辰哉が泥酔さえしなければこうはならなかった

純粋で真面目で、親切にしてくれる人をすぐ信じてしまう

田中も遠い昔はそういう人間だったのかも知れない

だけどうまくいかなかった、裏切られた

「ウケる」

 

辰哉は田中を刺してしまいます

辰哉が田中が逃亡犯の山神だと知ったのは、彼の死後のことでした

大好きだった泉ちゃん

その泉は海に向かって吠えていました

何度も、何度も



LGBTQ(性的マイノリティ)もだけど、前科のある人間や

風俗で働いていた、レイプされた女性たちに対する

世間の風当りはまだまだ冷たい

それが狭い島や田舎だとなおさらのこと

残念だったのは、愛子や優馬や泉に比べて

肝心の殺人犯、田中の人間描写が薄っぺらいところ

本当に悪い奴なのか、サイコパスか、激情型か、キレるタイプなのか

焦点が当てられていないし

夫婦殺害事件と沖縄での人物像にも共通点が見えない

激オコの少年の前にハサミ置いて逆立ちもバカだろ(笑)



前菜もデザートもまあまあ美味しかったけど

肝心のメインの素材を活かしきれていないフルコース映画

総じて65点、1900円払って見たら55点だったかも知れません

(もとをとれるギリギリ 笑)





【解説】映画.COMより

吉田修一の原作を映画化した「悪人」で国内外で高い評価を得た李相日監督が、再び吉田原作の小説を映画化した群像ミステリードラマ。名実ともに日本を代表する名優・渡辺謙を主演に、森山未來松山ケンイチ広瀬すず綾野剛宮崎あおい妻夫木聡と日本映画界トップクラスの俳優たちが共演。犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、それぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いた。東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は、無人島で

田中という男と遭遇するが……。

罪の声(2020)

19843月から約1年半にわたって世間を震撼させた

「グリコ森永事件」に基づいたフィクション

三億円事件」と並ぶ昭和の2大未解決重大事件ですね

そのなかの「わかっていること」「新たにわかったこと」を

極力史実通りに再現しながら

事件に関わった人たちの「今」を描きます

2015年、京都市内でテーラーを営む曽根俊也星野源

クリスマスの飾りを探すため押し入れの中を調べると

父の遺品の中からカセットテープと手帳を見つけます

手帳はすべて英語で書かれていて

中央のページに大きく「GINGA」と「MANDOU」の文字

気になった俊也はテープを聞いてみると

わらべ”の「もしも明日が」を歌う子どもの声

父親が録音したのだろうと微笑ましく思っていると、突然

「きょうとへ むかって いちごう せんを にきろ」

という謎の言葉が現われます

ふたたび何もなかったように「もしも明日が」の歌

もしかして父親は「ギンガ・萬堂事件」

略して「ギン萬事件」に関わっていたのではないか

俊也は父の知り合いから手帳は30年以上前に行方不明になった

父の弟、達雄のものではないかと教えられます

その日から俊也は叔父の達雄と関りのあった人物を探すようになるのです

同じ頃、大日新聞文化部記者を務める阿久津小栗旬)は

ギン萬事件の企画記事のためイギリスに出張させられ

1983年のハイネケン社長誘拐事件」取材します

当時ハイネケン事件を調べていたと中国人が関係あるのではと

かって中国人の恋人だった女性に会うものの情報は得られず帰国

証券雑誌の株式の記事から、証券関係者を訪ね

犯人は「仕手筋」だった可能性があると聞かされますが

(仕手とは人為的に作った相場で短期間に大きな利益を得るため

市場で大量に投機的売買を行う投資家や集団のこと)

直接事件結びつく証拠は見つかりませんでした

意外にも犯人グループが会合を開いていたという

料亭「し乃」の板長がキーマンで(笑)

関係者が次々と割り出されていきます(抜群に記憶力がいい 笑)

阿久津と俊也や出会うことになるのも彼のおかげですね

俊也は、父や達雄の柔道仲間で元警官

生島の娘の高校の先生に会いに行きます

生島の娘の望と息子の総一郎が自分と同じ

「罪の声」に使われていた可能性があったからです

しかし望は一家で行方不明になり今も消息不明のままだといいます

望の親友だったという女性は望に生きていてほしいと

彼女について知っていることを俊也に教えるのでした

本当によく辻褄合わせがされているのですが

望が交通事故で死んだという展開はダメダメですね

その時点で(捜索願が出てれば)警察に身元がバレるし

絶対ニュースにもなる

ここはコンクリートで海に沈めるなり、最後まで仕事はきっちりやらないと

総一郎があっけなく見つかったのはいいとして

達雄が首謀者だったのも、最初の「中国人」探しで予想がつく

イギリス人の言う「中国人」をうのみにするかね、普通(笑)

母親も事件の証拠品ならすぐに処分するだろ

少なくとも病気がわかった時点で始末するだろ(笑)

そこは無駄な演出をカットして2時間で収めたほうがいい

それに、せっかくここまで「グリコ森永事件」を深堀したなら

もう少し社会派映画テイストとして完成度をあげて欲しかった

 

現実でも未だに関係者のひとりも見つかっていないのは

もしかしたら本当にひとり残らず

消されちゃったかも知れません

俊也は自分の声が事件に使われていたことに悩み苦しみ

テープに録音した母親を憎んでしまいます

でも総一郎と会ったことで、自分がいかに恵まれているか

幸せな人生を送って来たかを知るのです

総一郎の再出発のため、スーツを縫う

記者会見の甲斐あって、母親と再会することができた総一郎

「おかあちゃ~ん、おかあちゃ~ん」にはちょっぴりウルン

たぶん生活保護も受けれると思うよ

(そこはもう少し夢のあることを言おうよ)

 

 

【解説】allcinema より

かつて日本中を震撼させ、未解決のまま時効を迎えた実在の劇場型事件をモチーフにした塩田武士の同名ベストセラーを、脚本に人気脚本家の野木亜紀子を起用し、小栗旬星野源の主演で映画化したヒューマン・ミステリー。すでに時効となった昭和の大事件を改めて取材する新聞記者の男と事件で使われた脅迫テープの声が幼少期の自分の声だと気づいた男を主人公に、事件の真相と驚愕の犯人像に迫っていく2人の姿をスリリングに描き出す。共演は松重豊古舘寛治市川実日子火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子。監督は「涙そうそう」「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の土井裕泰
 35年前に起きた食品会社を標的とした脅迫事件は、警察やマスコミを翻弄し続け、日本中を巻き込んだ衝撃的な日本犯罪史上初の劇場型犯罪となった。しかし犯人グループは忽然と姿を消し、事件は解決することなくそのまま時効を迎えた。大日新聞記者の阿久津英士は文化部記者ながら、この“ギンガ・萬堂事件”を取り上げた特別企画班に入れられ、戸惑いつつも取材を重ねていく。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中に古いカセットテープを発見し、自分の声が“ギン萬事件”で使われた脅迫テープの声と同じことに気づく。知らないうちに事件に関わってしまったことに罪悪感を抱きながらも、なぜ自分の声が使われたのか、その謎を解き明かすべく自ら事件を調べ始める曽根だったが…。