ジゴロ・イン・ニューヨーク(2013)

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「女性は見られてないと存在する意味がなくなるのよ」

 

原題は「FADING GIGOLO

fading”とは”色あせていく”ということ

本作では「いぶし銀」(華やかさはないが、実力や魅力があるもの

とでもいう意味でしょうか


ウディが自身の監督作品でなく、俳優として主演するのは

アニメ映画「アンツ」(1998)ヴァージン・ハンド(2000)

以来14年ぶりということ

監督、脚本、主演はジョン・タトゥーロ


が、ウディが登場したとたん、いつもの「アレン節」(笑)

長くてクドイ屁理屈をゴネゴネ

タトゥーロはウディを相当研究したんだな

ここまでされたらウディも出演するしかない(笑)

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三代続いた本屋を潰したマレー(ウディに似合いすぎ 笑)は

花屋でバイトする親友のフィオラヴァンテ(タトゥーロ)に

自分の通ってる皮膚科の女医Dr.パーカー(シャロン・ストーン)が

レズの恋人と3Pしてくれる男を探していると説明します

そしてその相手役にはフィオラヴァンテしかいないと言うのです

しかも報酬は1000ドル、6:4の分け前でどうだと話は決まります

 

最初は、男が女からお金を貰うなんてありえない

男娼なんてまっぴらと思っていたフィオラヴァンテでしたが

渋々Dr.パーカーに会いに行くと、そこにいたのは意外にも

初デートで女子高生のようにドキドキしている熟女でした

フィオラヴァンテはDr.パーカーの話に耳を傾け

グラスに酒を注ぎ、優しくリードし、好きな音楽だとダンスに誘う

Dr.パーカーはフィオラヴァンテにイチコロ、まいってしまいます

なんたって彼は、アイスクリームでいえば「ピスタチオ」味(笑)

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一見これ、金もない、若くもない中年男が

セレブの美女たちとヤリまくれる夢物語のようですが

 

実はものすごく、女性の恋愛心理や

女性が男性にしてもらいたい欲求を調べ上げてる(笑)

 

つまりアレンを研究する=女性を研究すること

しかもイイ女にばかりモテる

 

ウディの味方をするわけじゃないけど

私はハリウッドの「MeToo運動」を支持している派ではないのでね

だからといってセクハラに賛成している訳じゃありませんよ

ただ、脅しや、レイプや、クスリを飲まされたというような悪質なものは別として

性的なことや、容姿や年齢のことをことを言われたり

タッチされたくらいでも「MeToo」と騒ぐのはいかがなものかと思う

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マレーのリサーチ力と

フィオラヴァンテの女性経験の豊富さと、数々のバイトで得た知識で

女性からの予約が殺到

 

そんな中、セラピーだとマレーが誘ったのが

(息子の髪ジラミをとってくれた)ユダヤ教ナビの未亡人で

6人の子どもがいるアヴィガル (ヴァネッサ・パラディ )でした

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よく知らない宗教について意見を言うのはタブーだと知っているけど

ユダヤ教の超正統派ってイスラム教と同じように戒律が厳しく

女性の地位が低いんですね

(同じ土地で生まれた宗教だからあたりまえか)

しかも髪型やスタイルが独特なだけでなく

独自の解釈や、ありえないルールが多すぎる

 

フィオラヴァンテは、部屋を暗くし、ろうそくに火をつけ

アロマオイルでやさしく背中をマッサージ

するとアヴィガルは泣いてしまいます

夫は肌に触れなかった、寂しかったと

(肌に触れないで子ども作るって動物か←動物だって毛づくろいくらいするぞ)

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次にフィオラヴァンテはアヴィガルを食事に誘います

彼が作ったのは、食材から調味料まですべて

「ラビ認定」のものを使った魚料理

こんなふうに男性にやさしくされたことがなかった彼女は

自分の中に女性を取り戻します

そしてフィオラヴァンテも決して幸せとはいえない彼女を

好きになってしまいます

 

そしてお約束の3Pの日

美女ふたりを前にして、フィオラヴァンテは萎えてしまう

  だけどデキない彼をDr.パーカーと恋人のセルマは(ソフィア・ベルガラ

「できないのは恋を知ったからね 素晴らしい!おめでとう!」と祝福します

(私もお姉様たちの間に挟まりたい 笑)

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一方でアヴィガルに想いを寄せている

ユダヤ教の自警団のドヴィ (リーヴ・シュレイバー)は

マレーを逮捕し「ラビ審議会」というユダヤ教独自の裁判にかけます

 

ユダヤ教の超正統派の中でも

ニューヨークのコミュニティは有名らしいですね

コロナ渦の中、集団礼拝をやってニュースにもなりました

 

そこに現れたアヴィガルは自分の罪(背中と髪の毛を見せたこと)を

ラビに告白しアヴィガルと結婚する結婚する決意をします

そしてフィオラヴァンテに別れを告げに行くのです

 

ここらへんはアーミッシュの未亡人と、よそ者の警察官が淡い恋心を抱く

「刑事ジョン・ブック」(1985)と似ている

あまりに住む世界が違うため、結局結ばれることはない

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アヴィガルにフラれたフィオラヴァンテは

マレーにダイナーでブルックリンを去る決意を語ります

が、カウンター席に座っていた美女(ローン・シャバノル)に

マレーはフィオラヴァンテを紹介し連絡先を渡す

そしてもう一度、フィオラヴァンテに今後の予定を尋ねるのでした

 

タトゥーロは名前の通りイタリア系だけど、ブルックリンで生まれ育ったから

こんな「なんか変だよ、ユダヤ教」をネタにした作品が作れたのでしょう

下ネタ満載だけど、最後はちょっとほっこりします

 

ひとこと感想は、よく上映禁止にならなかったもんだ(笑)

 

 

【解説】allcinema より

バートン・フィンク」「オー・ブラザー!」のジョン・タートゥーロが主演のみならず監督・脚本も務め、共演にウディ・アレンを迎えて贈るコメディ。お金に困った本屋店主と彼にそそのかされジゴロ稼業を始めた花屋のバイト店員の凸凹コンビを主人公に、彼らを取り巻く愛とお金の人間模様をユーモラスに綴る。共演はヴァネッサ・パラディシャロン・ストーンリーヴ・シュレイバー
 ニューヨークのブルックリンで、3代続いた本屋を自分の代で潰してしまったマレー。失業で途方に暮れていた彼はふとしたきっかけから、花屋でバイトする友人のフィオラヴァンテをジゴロに仕立てると、2人で愛に飢えた女性相手のいかがわしいビジネスに乗り出す。すると意外にもフィオラヴァンテの優しいジゴロぶりが評判となり、マレーの巧みな営業活動と相まって商売は思いのほか大繁盛。調子に乗ったマレーは、新規顧客としてユダヤ教の中でも厳格な宗派に属しているラビの未亡人アヴィガルを言葉巧みに勧誘する。しかしフィオラヴァンテとアヴィガルは互いに惹かれ合い、秘密の逢瀬を重ねるようになってしまう。それは、ジゴロにとってもユダヤ教徒にとっても決して許されることのない禁断の恋だったのだが…。

一人っ子の国(2019)

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原題も「ONE CHILD NATION

1979年から、2015まで35年間中国で行われた

「ひとりっ子制作」の実態に迫るドキュメンタリー映画

 

在米中国人監督ワン・ナンフー(1985年生)が

生まれ故郷に行き、ホームビデオ用のカメラでひとりで撮影

マイケル・ムーアの女性版かと思いがちですが

そんなもんじゃなかった

 

こんなドキュメンタリー映画見たことない

極めて衝撃的な内容に驚かされます

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ナンフーさんは赤ちゃん(生後2~3ケ月)を連れ

母親や弟、親戚にお披露目するため江西省の小さな農村に里帰りします

中国でナンフーは「男栿」と書き男の名前

強く逞しい大黒柱になってくれることを願って両親が考え

産まれたのは女の子だったけどそのまま命名しました

 

その5年後弟が産まれますが(祖父は村の権力者だったと思われる)

姉弟のいるナンフーさんは学校で珍しがられ

虐められたこともあったそうです

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そこでナンフーさんは「ひとりっ子制作」について

母親や親戚、当時の村の村長

自分を取り上げてくれた助産婦などから話を聞くことにします

穏やかに見えても、切り口はかなり鋭い

 

「ひとりっ子制作」は私も知っています

だけどこんなにも非人道だとは知らなかった

それも何百年も過去の話ではなく、つい最近まで行われていたのですから

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195861年に毛沢東が行った「大躍進」(農業や工業の改革)が大失敗

7000万人とも言われる国民が食料不足のため餓死してしまい

このままだとますます食糧危機になってしまうため

人口を減らす、という政策が取られます(マルサス主義)


中国や韓国は、日本以上に長男が家を継ぐという

古い伝統が今も根強く残っていて、夫婦別姓なのも

結婚をしても嫁は夫の家の苗字をもらうことができないからです

もし女の子が産まれたら嫁に行ってしまい(子どもは夫の姓になる)

家が途絶えてしまう

だからどうしても男の子が欲しい、男の子じゃなきゃだめなんだ

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じゃあ、女の子が産まれたらどうする?

籠に入れて捨ててしまうのです

捨てられた赤ちゃんも、女の子なら誰も拾わない

顔中蚊に刺され、蛆虫がわき、赤ちゃんは死んでしまいます


でも中には女の子の赤ちゃんでも、捨てられない親もいるでしょう

隠れて次に男の子が産まれるのを待つわけですが

役人に家を壊され、担架に縛り付けて連れていかれ

強制的に不妊手術や、中絶をさせられてしまいます

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しかも中絶させられる妊婦のほとんどが8~9ケ月

とりあげられた赤ちゃんがたとえ生きていても

そのままビニール袋に入れられ、他のごみと一緒に不法投棄される


ナンフーさんをとりあげた助産婦は5万人は赤ちゃんを殺したという

10万人以上の処理をして、組織から英雄だと金賞をもらった助産婦は

「勲章を貰ったことをいまでも誇りに思う」と答える

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女の赤ちゃんを捨てた叔母に捨てた理由を尋ねると

姑から「捨てないと村八分にされる、非国民になる」

「その女の子を捨てないなら、私が殺すか、私が自殺する」と

脅され、やむを得なかったと答えます


だけど彼らがいくら赤ちゃん殺しでも

怖い人間かといえば、そうではない

家族を大切にするやさしい人々、模範的な国民、愛国者

「政策だった」「しかたがなかった」

政府による長年の洗脳教育で

自分の考えを持つことができなくなってしまっただけなのです

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しかし90年代に入り状況が変わります

アメリカなどの国が中国からの養子縁組を認めたのです

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ナンフーさんは人身売買の罪で5~10年の刑で服役していた

親戚の一家を尋ねます

一家と(配達員なのど仕事をしていた)仲間は

道端に捨てられた子どもを拾い、国営の施設に預け収入を得ていました

最初はこのまま死んでしまうより、誰かに引き取られたほうが

赤ちゃんにとっては幸せなこと、そう思っていたのです


そして中国人の女の子3人を養子に迎えたアメリカ人の夫婦

他国より養子縁組の手続きが簡潔で、金額もはっきりしていて

受け入れやすかったと言います

まさかそれが捨て子や

2人以上子どものいる家庭から)拉致された子どもだったとは知らずに

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中国は養子縁組という人身売買で莫大な利益を得ていたのです

その数10万人以上

これはアメリカ人の夫婦にとっても、子どもたちにとってもショックなこと

 

そして今、中国でも少子老齢化が問題となり

当然、圧倒的に男性の人口が多いため(3000万人以上)結婚できず

ますます少子老齢化が進み「ひとりっ子制作」は廃止

あちこちに掲げられているプロパガンダのスローガンも

「子どもは ひとりより ふたり」に変わります

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一党独裁国家や、独裁者を取材し、批判するジャーナリストはたくさんいますが

それを見た私たちは、どこか遠い国で起こっている暴動と

どこかで客観視してしまってる



だけどこの映画は違う

独裁国家がいかに間違ってるかを「ひとりっ子制作」を通じて

人権教育の重要さと、優生保護や監視社会の危険性を

ズシンと心に響かせてくれる

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これは中国だけの問題ではないのです

もしかしたら日本だって

ちょっとしたきっかけで同じ道を辿るかもしれないのだから

 

【解説】映画.COMより

中国で1979年から2015年まで行われていた「一人っ子政策」についてのドキュメンタリー。中国出身の2人の女性監督ナンフー・ワンとジアリン・チャンが手がけ、一人っ子政策がもたらす深刻な影響を暴き出した。2019サンダンス映画祭のドキュメンタリー部門でグランプリを受賞。Amazon Prime Videoで配信。

Vフォー・ヴェンデッタ(2005)

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原題も「V FOR VENDETTA

vendettaはイタリア語で「復讐」「敵討ち」の意味

 

ハッカー集団アノニマスの理念になっていることで有名

公開当時はかなり酷評だったらしく

最初は私も「スクリーム」(1996)のパロディかよ!

と、思ったのですが(笑)

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今見たらこれ、スゴイ映画ですよ

アメコミの中の近未来の世界が、現実になっているのですから

中国当局では上映禁止

2012年に解禁されたものの、2020年に再び禁止

 

ただ、Vとゴードンが同じトーストを焼く理由や

ヒロインが監禁された収容所内に明らかに仲間がいた・・など

あちこちで伏線の回収が出来ていないのが残念

原作は読んでいませんが、かなり脚色されているようで

もう少し練って丁寧に作っていたら、相当な傑作になっていた思います

(かといって、リメイクは作るべきではないけど 笑)

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第3次世界大戦後、世界中でウィルス汚染により何十万人も死亡

アメリカ合衆国は崩壊し内戦が続き

イギリスでは独裁者サトラーが誕生

戒厳令がひかれ、自由はもちろん、音楽や絵画といった芸術も奪われ

国営放送BTNでは、キリストを語るプロパガンダ番組と嘘のニュースを放映

反体制派や、異教徒や、同性愛者は逮捕され、拷問、銃殺されていました

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BTNに勤務するイヴィー(ナタリー・ポートマン11月4日深夜

人気キャスター、ゴードン(スティーヴン・フライ )に誘われ外出すると

複数の男たちに絡まれ、猥褻な行為を要求されます

痴漢だと思い催眠スプレーを取り出すと、彼らは夜間外出禁止令を取り締まる

秘密警察”ザ・フィンガー”だったのです


警察が権力を利用して無抵抗の人間に暴力を振るったり

女性をレイプしようなんて、それこそ行政が機能していない証拠

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そこに仮面の男が現れ、鮮やかな手並みでウジ虫たちを退治

お喋りな仮面の紳士は“V”と名乗り、イヴィーを音楽会に誘います

そして時計の針が12時を指し115日に日付けが変わったとき

1605火薬陰謀事件ガイ・フォークスが逮捕された日

ガイ・フォークス・ナイト)


街のスピーカーからチャイコフスキー1812年(序曲)が流れ

1812年の演奏では本物の大砲の砲音を使う)

裁判所が爆破し花火が打ちあがります

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警察は監視カメラに写っていた仮面の男を探すため

身元のわかったイヴィーを追うことにします

翌朝BTN出勤し何も知らずスタジオにV”マスクを届けたイヴィー

どこからか現れた“V”はテレビ局を電波ジャック

来年の115国会議事堂集まるよう国民に呼びかけます

そして警察に追われ暴動で気を失ったイヴィーを

悩んだ末隠れ家の「シャドウ・ギャラリー」に連れて行くのです

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乙女なエプロン姿にキュンキュン(笑)

しかしイヴィーは“V”の殺人に納得していませんでした

英国教会のロリコン司教の相手の仕事を頼まれたとき

隙を見つけて逃げ出し、ゴードンに助けを求めに行きます

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このゴードンが、イイ感じの変態(笑)

極端な趣味をもつ異端児で、同性愛者でしたが

秘密警察から身を守るため、若くて美人のイヴィーに

気のあるそぶりをしていただけなんですね

温かくイヴィーを迎え入れてくれます

 

サトラー(ジョン・ハート)のそっくりさんのパロディ番組を放映したことで

国民は大うけしたものの、サトラーの怒りを買ってしまい

ゴードンは連れ去られ処刑、イヴィーも捕まってしまいます

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一方でフィンチ警視(スティーヴン・レイ)と

部下のドミニク警部 (ルパート・グレイヴス)は

V”に殺された、プロパンダ番組司会者のプロセロ

リリアン司教、そして検視官で元植物学者のサリッジ女医の

共通点を洗いだしていきます

 

しかしすべてのデータは削除され、資料も残っていない

そこで警視が目をつけたのが税務署に残された納税証明でした

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プロセロは元軍人で、かってラークヒルに存在していた

強制収容所で囚人たちを拷問し

ウィルスの治療薬製造に携わり、製薬会社から莫大な賃金が支払われていました

サリッジ女医はラークヒル収容所でウィルスによる人体実験していました

リリアン司教もラークヒル収容所に関わっていたひとりで

サトラーから巨額の口止め料を受け取っています

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その収容所の生き残り、それが”V”でした

V”は新型ウィルスの実験で死ななかったただひとりの人間で

ウィルスの変異で超人的な身体能力を身につけてしまったのです

 

サトラーと側近たちは、ウィルスを故意にまき「細菌テロ」を自作自演

そして権力と、莫大な治療薬の利益を受け取ることに成功したのです

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しかし、独裁政治も長く続くと、いくら側近といえ

そうそういつまでも、仲良しこよしでいるのは至難の業

お互い不満が芽生え、その気持ちを”V”がくすぐるんですね

 

国民たちを躍動するのもうまくて(笑)

当然そのことで犠牲者が出てしまうわけですが

何もしないで殺されるより

行動を起こすほうが大事だという気持ちにさせられる

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復讐は間違っていると思っていたイヴィーでさえ

警察に捕らえられ、独房に入れられ、拷問にあい

同じように、幸せを奪われ死んでいった人々がいたことを知り

死への恐怖より、自由を求める信念のほうが強くなる

 

これが革命の精神なんだな

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V”の意思を継いだイヴィーは

ロンドンの象徴でもある国会議事堂(ビック・ベン)を

爆破する決意をします

さすがのフィンチ警視も、それを止めることは出来ませんでした


最後まで仮面を被り続けた"V"は「マトリックス(1999)

エージェント・スミスを演じたヒューゴ・ウィーヴィング

声と身振りだけで、憎悪と狂気と悲哀を表現したのは見事

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本当に、予言詩のような作品で

独裁国家が強大な軍事力で、外交も国民も支配するようになる

国際機関もお金で左右され、国際法は機能しなくなる

未来の世界に、はたして平和はやってくるのだろうかと

深く考えさせらる

 

あと少し、辻褄合わせがうまくいっていれば・・

「お気に入り」までも、あと少し

惜しい作品だったと思います

 

 

【解説】allcinema より

 アラン・ムーアデヴィッド・ロイドによって80年代に発表されたコミックをベースに、「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟が脚本化したサスペンス・アクション。独裁国家となったイギリスを舞台に、反ファシズムを掲げテロ行為を繰り返す謎の男“V”と、その戦いに巻き込まれていく一人の女性の葛藤と成長を描く。9.11同時多発テロ事件以降のアメリカを中心とした政治体制の方向性に対する強い懸念を色濃く反映したものとなっている。主演は「マトリックス」シリーズのヒューゴ・ウィーヴィングとスキンヘッドでの熱演が話題を呼んだナタリー・ポートマン。監督は、「マトリックス」シリーズなどで第一助監督を務め本作が監督デビューとなるジェームズ・マクティーグ
 近未来のイギリス。そこは独裁者アダム・サトラー議長が支配するファシズム国家となっていた。テレビ局で働くイヴィーはある日、外出禁止時間に表を歩いていたところを運悪く秘密警察に見つかってしまう。そんな絶体絶命の危機を、彼女は“V”と名乗る謎の仮面男に救われる。しかし男は、1605年に国王の圧政に反発し国家転覆を図り失敗に終わったガイ・フォークスにならって、たった一人でサトラー政府に反旗を翻す狡猾非情なテロリストだった。次第にVのテロ活動に深く巻き込まれていくイヴィーは、やがてVとサトラー政府を巡る恐るべき因縁を知ると共に自分自身の内なる真実に目覚めてゆく…

アウト・オブ・サイト(1998)

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原題も「OUT OF SIGHT」(死角)

スティーヴン・ソダーバーグ流シャープで、ユーモアがあって

ジョージ・クルーニージェニファー・ロペス

スタイリッシュなストックホルム症候群もの

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この頃のジェニファー・ロペスアンジェリーナ・ジョリーって

メイク似てて、一瞬見間違うけど(私だけ?)

ジェニロペは立派なお尻でわかる(褒めています)

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ジャック(ジョージ・クルーニー)銃を使わないプロの銀行強盗

乱暴なやり方には反対、というポリシーを持っています

FBI の女性捜査官カレン(ジェニファー・ロペス)は美人で仕事もできるけど

既婚男と付き合い、探偵の父親から「酒飲みの浮気男ばかり」と

愚痴をこぼされていました

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フロリダの刑務所から脱走したジャックと

彼を車で迎えに来た相棒のバディ(ヴィング・レイムス)は

偶然カレンと鉢合わせになり

バディはジャックとカレンをカレンの車のトランクに閉じ込め

そして逃走中、トランクの中で身体を密着させているふたりは

映画の話をするのです

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女:こんなこと続かないわ

男:撃たれて死ぬなら、塀の中より外がいい
女:ボニーとクライドみたいに?
男:「俺たちに明日はない」みたいに?

撃ち殺される二人、ウォレン・ベイティと・・・
女:フェイ・ダナウェイ
男:フェイ・ダナウェイ、彼女のテレビ局の
女:「ネットワーク」
男:男が「もうお断りだ」って
女:ピーター・フィンチ
男:そう、ピーター・フィンチ

「頭に来た、もうお断りだ」クライドが撃たれるシーンあれなら後悔しない

話が合うな

もし違う場所で会っていたら

例えばバーで会っていたら
女:何も
男:正体を知らずに
女:あなた隠せるの?
男:場所が違えば
女:ありえないわ
男:フェイ・ダナウェイの「コンドル」は
女:ロバート・レッドフォードとね
男:そう
女:出会ってすぐあんな関係は嘘よ、恋のことよ
男:でも

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確かにシチェーションに憧れる(笑)

例え映画じゃなくてもいいんですよ

音楽にしても、ゲームにしても、電車や車にしても

ちょっとインテリで、マニアックな話を理解できる人間との出会い

しかも魅力的な相手とな好きにならないわけがない(笑)

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解放されたカレンは、再びジャックを追い

やって来たホテルのエレベーターから「やあ」挨拶するジャック

拍子抜けしたカレンでしたが、バーで再会し

結局寝てしまう

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ジャックとバディと元刑務所仲間のスヌーピードン・チードル)は

金融界の大物リプリーアルバート・ブルクッス)が

自宅に隠し持ってい500万ドルのダイヤを盗む計画を立て

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入った屋敷でスヌーピーとごちゃごちゃになり

しかもカレンに脚を撃たれ逮捕されてしまう
しかし護送車に乗り合わせたのは、脱獄の常習犯として有名な

ヘンリー(サミュエル・L・ジャクソン)でした

助手席に乗り込んだヘレンは意味深に微笑むのでした

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まあ、映画らしい終わりかたといえば、終わりかた(笑)

やっぱ主要人物は11とか12とか13より少ないほうが

同じ内容がないのでも、中身が詰まってていいわ

ソダ―バーグ君

【解説】KINENOTEより

プロの銀行強盗と女連邦保安官の恋愛をスタイリッシュに描いたラヴ・サスペンス。「ジャッキー・ブラウン」の原作者エルモア・レナードの同名小説を「セックスと嘘とビデオテープ」「蒼い記憶」のスティーヴン・ソダーバーグ監督が映画化。脚本は「ゲット・ショーティ」に次いでレナード作品を脚色したスコット・フランク。製作は「ゲット・ショーティ」のダニー・デヴィート、「フィーリング・ミネソタ」のマイケル・シャンバーグ、「マチルダ」のステイシー・シェール。製作総指揮は「メン・イン・ブラック」の監督バリー・ソネンフェルドと「セックスと嘘とビデオテープ」のジョン・ハーディ。撮影は「蒼い記憶」のエリオット・デイヴィス。音楽はベルファスト出身のDJデイヴィッド・ホルムズ。編集は「シークレット・サービス」のアン・V・コーツ。出演は「ピースメーカー」『ER 緊急救命室』(TV)のジョージ・クルーニー、「Uターン」のジェニファー・ロペス、「ボディ・カウント ヤバい奴ら」のヴィング・レイムス、「ゲット・ショーティ」のデニス・ファリーナ、「ブギーナイツ」のドン・チードルほか。

さらば愛しきアウトロー(2018)

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原題は「TheOldMan and theGun (老人と銃)

ヘミングウェイの「TheOldMan and theSea」(老人と海)にかけてます

 

ロバート・レッドフォード最後の主演作

「この映画はほとんど実話である」のオープニング字幕は

明日に向って撃て!」(1969)と同じ(笑)

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監督のデヴィッド・ロウリーは、編集技師だったというだけあって

見せ方をよく知っている

 

ものすごい傑作とか、大作ではないけれど

レッドフォードがレッドフォードとして引退するのにふさわしく

温かいものが込み上げてきて

まだ死んでもいないのに、泣きそうになった(笑)

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老紳士が、銀行窓口で鞄を出し

そっと銃を見せて、やさしく現金を詰めるよう要求

鞄を受け取った老紳士は何事もなかったかのように去り

走り出した白い車が、青い車に代わる

 

ロバート・レッドフォード演じる主犯格は

伝説の銀行強盗フォレスト・タッカー(19202004

仲間は刑務所で知り合ったテディダニー・グローヴァー)と

ウォラー(トム・ウェイツ

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もしかして映画界は今、「枯れ専」のために

動いているのかも知れない(笑)

 

逃亡中タッカーはトラックが故障した牧場主の未亡人

ジュエル(シシー・スペイセク)を助け

お互い心惹かれるものを感じます

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一方で地方の銀行を襲う老齢の犯人に注目した

ジョン刑事(ケイシー・アフレック)が捜査に乗り出すますが

最後の大仕事にと金塊強盗に成功した3人の捜査はFBIに渡り

ジョン刑事は外されてしまいます


しかし彼のもとに送られた一枚の古い写真が

犯人がフォレスト・タッカーであることを知らせます

送ったのはタッカーの実の娘でした

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タッカーは生まれながらの泥棒

30回服役して18回脱獄(公式サイトでは16回)

彼にとって、盗みも脱獄も人生を楽しむためのもの

 

それにしても、人生のほとんどを刑務所で過ごした人間が

マナーを身につけ、紳士にしか見えないというのは

相当頭が良いうえ、刑務所の中で勉強したのでしょう

それも強盗するためだけのために(笑)

女性行員の証言は、タッカーは「ハッピーに見えた」という

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そんなタッカーが恋をした(79歳で3度目の結婚)

逮捕されたタッカーはジュエルの言うことを聞き

脱獄せず刑期を終え(これだけ強盗しても案外早く出れるのね)

 

ジュエルと平穏に暮らし始めますが、やっぱり落ち着かない(笑)

結局また、地元の(推定4つ)銀行を襲ってしまいます

2004年刑務所で亡くなりました、享年83

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レッドフォードも顔のアップはさすがに皺皺爺

だけどカメラが引くと、やっぱりイイ男なんですね

スーツが似合うし、笑顔はチャーミングだし

細かい仕草までイチイチかっこいい(笑)

 

男性諸君よ、何歳になってもモテたいと思ったら

若い頃からカッコよく見える所作を身につけたほうがいい

映画は最高の研究材料

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本当に、傑作とか、大作ではないけれど(笑)

往年のムービー・ファンならぜひ見てほしいと思います

 

 

【解説】allcinema より

ハリウッドを代表する映画スター、ロバート・レッドフォードが本作を最後に俳優業からの引退を宣言し話題となった犯罪伝記ドラマ。銀行強盗を繰り返しながらも決して誰も傷つけず、常に紳士的に振る舞い続けた74歳の伝説の銀行強盗フォレスト・タッカーの驚きの実話を映画化。共演はケイシー・アフレックダニー・グローヴァートム・ウェイツシシー・スペイセク。監督は「ピートと秘密の友達」「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー」のデヴィッド・ロウリー。
 1980年代初頭のアメリカ。74歳のフォレスト・タッカーは、そのダンディな佇まいとは裏腹に、なんと現役の銀行強盗。しかしその手口はどこまでも紳士的で、誰一人傷つけることはなかった。そして、お金以上に銀行強盗そのものを楽しんでいたのだった。事件を担当するジョン・ハント刑事も、そんなフォレストの生き様に魅了されていく。一方フォレストは銀行強盗の傍ら、偶然出会った未亡人ジュエルとのロマンスも満喫していくのだったが…。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015)

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「愛はありました おろそかにしてただけで」

 

原題は「DEMOLITION」(解体)

邦題は車のサンバイザーの内側に貼られていた

死んだ妻からの付箋に書かれていたメッセージ

雨の日は気づかない

晴れた日は(眩しくてサンバイザーを降ろすから)

愛してる”という想いに気がつく

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デイヴィス(ジェイク・ジレンホール)

妻の父親(クリス・クーパー)が経営する

投資会社に務めるエリートサラリーマン

 

妻のジュリアが運転する車で通勤中追突事故に遭い

意識を取り戻した病院で、ジュリアが死んだと知らされます

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そこでデイヴィスがしようとしたことは

病院の自販機でm&m’sを買うこと

しかし自販機の不具合でチョコレートがケースに引っ掛かかってしまい

チョコレートを食べることが出来なかったデイヴィスは

自販機会社に苦情の手紙を送ることにしますが

 

その手紙に書かれた内容は、自分の仕事や通勤電車で一緒になる人のこと

妻との出会いから結婚、妻の死までが事細かく綴られていました

するとある日、自販機会社の顧客係カレン(ナオミ・ワッツ)と名乗る女性から

「手紙に泣いた」という電話が来て、そこからやりとりが始まります

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やがてカレンにどうしようもなく会いたくなったデイヴィスは

自販機の会社や、電車で定期購入の雑誌を忘れた女性(カレン)の

家まで押しかけていきます

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一方で、突然何かを解体したい衝動を抑えきれない

最初は冷蔵庫、妻の実家のランプ、会社のトイレのドアやパソコン・・

解体業者に、どうにか手伝わせてくれと談判し

カレンの息子クリスと、自分の家までぶっ壊す

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最初は妻の死が原因だろうと

誰もが同情したデイヴィスのサイコパス化だけど

 

義父の「お前が代わりに死ねば良かった」や

義母の(不倫で中絶した子を)「産めば良かった」という

家族を失った人間の本心の捨てゼリフに

デイヴィスは傷つき考える

 

ジュリアを「愛していなかった」のかと悩むデイヴィス

そしてジュリアも自分を愛していなかったのか

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自分の居場所がカレンとクリスの住む家しかなくなったとき

デイヴィスは出張から帰ったカレンの恋人に見つかりボコボコに殴られ

時を同じくしてゲイがばれたクリスは、6人の若者から袋叩きにされて

瀕死の重傷を負ってしまいます

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誰もが不器用で、精神的に深く苦しみ

自ずから、心も身体も傷つけてしまう行動をしてしまう

なぜなんだろう

 

そんなとき、サンバイザーの裏に貼った

ジュリアの残したメモが見つかります

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

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妻は僕を愛していてくれていて

誰よりも僕を理解していたんだ

デイヴィスは義父に投資を持ち掛けます

それは亡き妻が愛した海辺に

メリーゴーランドのある遊園地を作ることでした

 

雨”と”晴れ”はデイヴィスの二極性な性格のことなのでしょう

几帳面に体毛を剃っていた男が、髭ぼうぼうになる

クールな男が、突然ハイになる

自分でも気付かなかった極端な人格の変化を

妻は見破り、見守っていてくれたのです

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義父だって、最後までデイヴィスを見捨てなかった

交通事故の加害者も、決して悪人ではない

 

見えないやさしさ

そしてラストの、ダウン症の子どもたちへのフォーカス

 

ジュリアが中絶した赤ちゃんは、本当はデイヴィスの子だったけど

何かしら重度の障害が見つかり、医者から中絶を勧められ

 

デイヴィスを傷つけたくない、またはデイヴィスの障害を隠すため

母親に「不倫して妊娠した」と嘘をついて(手術に家族の同意書が必要)

病院に付き添ってもらったのではないだろうか

(オマエの妄想力は相変わらずスゴイな 笑)

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どんな障害や、失敗や、過去があったとしても

幸せを感じる瞬間は、誰にだってあっていいはず

ただ、ここまで引っ張って、ラストがファンタジーすぎ

 

相手はジェイク・ギレンホール(笑)

古い回転木馬や、リアルなダウン症児の姿を見せたほうが

絶対バランスいいし、もっと感極まった気がします

これは夢じゃない、壊れそうでも生きている者(物)なのだから

 

 

【解説】「ダラス・バイヤーズクラブ」「わたしに会うまでの1600キロ」のジャン=マルク・ヴァレ監督がジェイク・ギレンホールを主演に迎え、妻の突然の死で心が壊れ、ふとしたきっかけから破壊衝動を抑えられなくなった男の再生への道のりを見つめたヒューマン・ドラマ。共演はナオミ・ワッツクリス・クーパー
 エリート銀行員のデイヴィスは、いつものように妻の運転する車で会社へ向かう途中で事故に遭い、自分は助かったものの、妻を失ってしまう。しかし彼は涙が出ないどころか、悲しみすら感じていない自分に気づいてしまう。彼女を本当に愛していたのか分からなくなってしまったデイヴィス。やがて“心の修理も車の修理も同じだ、まず分解して隅々まで点検し、再び組み立て直せ”との義父の言葉が引き金となり、彼は身の回りのあらゆる物を破壊し始める。一方で、自動販売機から商品が出てこなかったと苦情の手紙を会社に送ったことがきっかけで、苦情処理係のシングルマザー、カレンと知り合い、彼女と息子のクリスと交流を持つようになるデイヴィスだったが…。

ウォールフラワー(2012)

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原題は「The Perks of Being a Wallflower

(ウォールフラワー(壁の花)の思いがけない特典)

 

もし君が壁の花(=パーティで誰からも誘われずぼっちで壁際に立ってる人)でも

自分の魅力や悩みに気付いてくれる仲間が出来たなら

忘れられない学生時代になるんだよ、というほろ苦い青春映画

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主人公のチャーリー(ローガン・ラーマン)は地元の高校に入学しますが

兄や姉の知り合いもチャーリーを見ても見ぬふり

最初の授業から隣の席の女子に馬鹿にされ

いくら知識が豊富でも、授業では目立たぬようにしていました

それなのに、相手を怒らせるようなことは一切していないのに

虐められてしまう

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そんな彼を理解してくれたのは国語のアンダーソン先生(ポール・ラッド)と

4年生の先輩(アメリカの高校は4年生がほとんど)の

     パトリック(エズラ・ミラー)とサム(エマ・ワトソン)兄妹でした

彼らもまた、ほかの生徒たちに馬鹿にされ、皮肉を言われていましたが

そんなことには負けず、強く、たくましく

何より楽しい高校生活を送っていたのです

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チャーリーはそんな明るく華やかなふたりを好きになり

美しいサムに甘酸っぱい思いを抱くようになります

だけどパトリックはゲイで

サムは浮気するようなダメ男とばかり付き合ってしまう

自分と同じように、やはり心に陰を持っていたのです

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この作品(学園ドラマ)を理解するためには

まずアメリカのスクールカースト制というものを理解しなくちゃいけない

 

アメリカのハイスクールでは、「ジョック」という体育会系のヒーロー

女子では「クィーン・ビー」(チア・リーダーやミス〇〇)と呼ばれる

グループが圧倒的勝組(1軍)

スクールカーストの頂点に立ちます

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が、そのぶん親や教師の期待も大きく、プレッシャーやストレスも多いのか

下層階級に位置する生徒たちを、バカにしたり虐めたりして喜んでいます

 

その下の中層階級(2軍)は「サイドキックス」「プリーザー」と呼ばれる

「ジョック」や「クィーン・ビー」を取り巻きで、見た目がイケてるタイプ

 

その下が「ワナビー」で「サイドキックス」「プリーザー」と同じく

1軍の取り巻きですが、見た目はイケていないタイプ

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中層階級の下っ端(3軍)にいるのは

上位軍団言うことは何でも聞く「メッセンジャー」、つまりパシリ

「スラッカー」と呼ばれる、面白い奴で上位軍団を盛り上げる担当

そして良家や金持ちのお坊ちゃま、お嬢様グループ「プレップス」

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1軍、2軍、3軍の虐めの対象となる下層階級が

「ナード」と呼ばれるヲタクや、ガリ勉、趣味人間と

おとなしくて、これといった取り柄のない「ターゲット」

 

ただ、自分の世界を持っていたり

将来の夢を追って勉強しているだけの人間が

いやがらせや暴行を受けてしまうのです

(「不良」と「フローター」(天然不思議ちゃん)はカースト対象外)

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これってアメリカの学校では(大人も含め)「虐め」が公認ってこと

バイデンさんは、まずここから改革しないと(笑)

アメリカに将来はないよ

優秀でモラルのある学生のほうが見殺しにされ

無意味なセックスやドラッグに溺れてしまう

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話は映画に戻って(笑)

 

好感のもてる佳作だけど

主人公が精神を病む原因がきっちり描かれていないうえ

事故死した叔母との関係も、「トモダチ」(イマジナリーフレンド)も

表現が中途半端でモヤモヤ、不完全燃焼

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そして、意地悪くチャーリーに当たったり

トイレに拉致してレポートを書かせた、隣の席の女の子は

実はチャーリーのことが気になっていた・・好きかも知れない

みたいなオチがあれば、もっとヨカッタかも(笑)

 

初恋の相手は生涯、男の子にとって重要

たとえ結ばれなくても

思い出は真実を越え、美しくなる

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ひとこと感想は「あの頃ペニー・レインと(2000)

なれなかった映画

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かな

 

 

【解説】allcinema より

スティーヴン・チョボスキーの同名ベストセラー・ヤングアダルト小説を原作者自らメガフォンを取り、主演に「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」のローガン・ラーマンを迎えて映画化した感動の青春ドラマ。周囲に馴染めず無為な日々を送る内気な高校生の惨めだった青春が、一組の兄妹との出会いをきっかけに輝き始めるさまとそのほろ苦い顛末を瑞々しく綴る。共演は「ハリー・ポッター」シリーズ卒業後、最初の大きな役として注目されたエマ・ワトソンと「少年は残酷な弓を射る」のエズラ・ミラー
 内気な少年チャーリーは、高校デビューにみごとに失敗し、友だちの出来ないまま、息をひそめるように灰色の学園生活を送るハメに。当然のようにパーティ会場でもたった一人で壁際に佇み“壁の花”状態だった。そんなある日、彼は勇気を振り絞り、フットボールの観客席で隣に座る陽気な上級生パトリックに声を掛けてみる。すると意外にもパトリックは気さくに接してくれ、奔放な恋愛を重ねる義理の妹サムも紹介する。こうして彼らの仲間に迎えられたチャーリーは、それまでとは見違えるように充実した高校生活を送るようになるのだったが…。